適応障害で失業保険はもらえる？300日受給の条件や退職後の流れを解説

適応障害を理由に退職する際、失業保険は生活を支える大切な制度です。

しかし「自己都合扱いになって給付が遅れるのではないか」「いくら、どのくらいの期間もらえるのか」といった不安や疑問を持つ方も少なくありません。

結論として、適応障害での退職は特定理由離職者として認められ、給付制限なく早期、かつ長期間にわたり失業保険を受給できる可能性があります。

本記事では、失業保険を受給するための具体的な条件や日数、金額、そして診断書の準備から申請手続きの流れまでを詳しく解説します。

正しい知識を身につけることで、退職後の経済的な不安を解消し、安心して療養と次の準備に進むための流れがわかります。

今後のために、ぜひご一読ください。

【結論】適応障害での退職は失業保険を有利な条件で受給できる可能性がある

適応障害を理由に退職した場合でも、失業保険は受給可能です。

それだけでなく適切な手続きを踏めば、一般的な自己都合退職よりも有利な条件で給付を受けられる可能性があります。

ここでは、その理由と具体的なメリットについて解説します。

適応障害は失業保険の受給で不利にならない

適応障害と診断されたことが、失業保険の受給資格において不利に働くことはありません。

失業保険の手続きで重要になるのは、退職に至った経緯です。

心身の不調や病気が原因で仕事を続けることが困難になり、やむを得ず退職した場合は正当な理由のある自己都合退職として認められます。

そのため、適応障害の診断や症状が、正当な理由として判断されるのです。

鍵となる特定理由離職者とは

特定理由離職者とは、正当な理由のある自己都合退職者の中でも、特定の理由に該当する離職者の方を指します。

具体的には、体力の不足や心身の障害、病気、ケガなどが原因で離職した方がこれに含まれます。

適応障害により就労が困難となり退職した場合、この特定理由離職者に認定される可能性が非常に高いでしょう。

認定されると、一般的な自己都合退職に比べて、給付制限の免除や給付日数の延長といった大きなメリットがあります。

待機期間なしですぐもらえる可能性がある

失業保険の手続き後、すべての方に7日間の待期期間があります。

一般的な自己都合で退職した場合、この待期期間に加えて、さらに1か月の給付制限期間が設けられます。

しかし、適応障害が理由で特定理由離職者と認定された場合、この給付制限が適用されません。

そのため、7日間の待期期間が終われば、すぐに失業保険の受給を開始できます。

なお、2025年4月1日に雇用保険制度の改正がおこなわれ、自己都合退職者の給付制限期間は原則1か月に短縮されました。

令和７年４月１日以降に正当な理由がなく自己の都合で退職した場合の給付制限期間は原則１か月となります。

引用元：厚生労働省

失業保険はいつからいくら、何日間もらえるのか

失業保険を申請する上で、最も気になるのが「具体的にいくら、どのくらいの期間もらえるのか」という点でしょう。

受給できる金額や日数は、離職前の給与や年齢、雇用保険に加入していた期間によって決まります。

ここでは、失業保険の受給額と日数の決まり方について解説します。

• 失業保険の受給額の計算方法
• 給付日数が決まる条件
• 自身のケースでの受給額の目安

これらの内容を具体的に確認していきましょう。

失業保険の受給額は離職前の給与で決まる

失業保険で1日あたりに受給できる金額を基本手当日額といいます。

この金額は、原則として離職する直前6か月間に支払われた給与の合計を180で割って算出した賃金日額を基に計算されます。

給付率は賃金日額に応じて50%から80%となっており、賃金が低い方ほど高い率で支給される仕組みです。

また、基本手当日額には年齢区分ごとに上限額と下限額が定められています。

この金額は毎年度8月1日に改定されるため、常に最新の情報を確認することが大切です。

令和7年度の基本手当日額の上限額と下限額は、次の資料を参考にしてください。

参考：厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」

給付日数は最大300（360）日になる可能性がある

失業保険を受給できる日数である所定給付日数は、年齢、雇用保険に加入していた期間、そして離職理由によって決まります。

適応障害が理由で特定理由離職者と認定された場合、手厚い給付日数が適用されます。

さらに、心身の障害などが理由で就職が困難であるとハローワークに判断された就職困難者に該当すると、給付日数はさらに延長されます。

たとえば45歳未満、被保険者だった期間が1年以上の方で、就職困難者と認定された場合の給付日数は300日（45歳以上65歳未満の場合は360日）です。

自身の所定給付日数がどのくらいなのか知りたい方は、ハローワークのページを参考にしてください。

【簡単シミュレーション】もらえる失業保険の目安

自身の状況で、おおよそいくら受給できるのか気になるところでしょう。

たとえば、35歳で勤続10年、離職前の月収が30万円だった場合を考えてみましょう。

このケースでは、基本手当日額は約6,570円、特定理由離職者としての給付日数は240日となり、受給総額の目安は約158万円となります。

これはあくまで一例であり、正確な金額は個々の状況によって異なります。

より詳しい受給額を知りたい方は、専門家への相談がおすすめです。

適応障害で失業保険を受け取るための手続きと流れ

適応障害で失業保険を受給するためには、正しい手順に沿って手続きを進めることが重要です。

とくに、退職前から計画的にはじめられれば、よりスムーズな申請が可能になります。

ここでは、退職前の準備から実際に給付金が振り込まれるまでの流れを、5つのステップに分けて具体的に解説します。

それぞれのステップで何をするべきか、順番に解説します。

STEP1：退職前に医師へ相談し診断書を準備する

特定理由離職者として認定を受けるためには、医師の診断書が極めて重要になります。そのため、退職を決める前に、必ず主治医に相談しましょう。

主治医に相談する際は、現在の状態だけでなくその症状が仕事にどう影響し、就労を続けることが困難であるかを具体的に伝えることが大切です。

退職するのが、病状の改善のために必要である点を理解してもらえれば、申請に有効な診断書を作成してもらいやすくなります。

STEP2：会社から離職票など必要書類を受け取る

退職後、会社から雇用保険被保険者離職票-1と雇用保険被保険者離職票-2の2種類の書類が郵送されます。

これらの書類は失業保険の申請に必ず必要となるため、大切に保管してください。

とくに離職票-2には、離職理由が記載されています。この内容が事実と異なる場合は、ハローワークで異議申し立てができます。

もし離職票が退職後2週間以上経っても届かない場合は、会社の人事担当者か、ハローワークに相談しましょう。

STEP3：ハローワークで求職の申し込みと受給資格の決定

必要書類が揃ったら、自身の住所を管轄するハローワークへ行き、手続きをおこないます。

窓口では、まず求職の申し込みをおこない、その後、失業保険の受給資格の決定手続きに進みます。

この際に、持参した離職票や診断書などの書類を提出してください。

ここで適応障害が理由で退職したことを明確に伝え、診断書を提出するのが、特定理由離職者として認定されるための重要なポイントです。

STEP4：雇用保険受給者初回説明会に参加する

ハローワークで受給資格が決定すると、後日開催される雇用保険受給者初回説明会の日時が指定されます。

説明会では、失業保険制度の詳細な説明があり、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡されます。

また、最初の失業認定日もこの場で知らされますので、必ず日程を確認して参加しましょう。

STEP5：失業認定日にハローワークへ行き手続きをする

失業保険を受給するためには、原則として4週間に1度、指定された失業認定日にハローワークへ行く必要があります。

失業認定日には、失業認定申告書に求職活動の実績などを記入して提出し、失業状態にあることの認定を受けます。

無事に認定されると、通常5営業日ほどで指定した金融機関の口座に、給付金が振り込まれる流れです。

【最重要】特定理由離職者と認定されるための診断書のポイント

適応障害を理由に失業保険を有利な条件で受給するためには、医師が作成する診断書の内容が最も重要です。

この診断書が、自身の退職理由が正当なものであることを客観的に証明する証拠となります。

ハローワークの担当者は、この診断書を基に特定理由離職者に該当するかを判断します。

ここでは、認定の鍵を握る診断書の次のポイントについて詳しく解説します。

• 診断書に就労困難であったことを明記
• 医師へ的確に現状を伝えるための準備と伝え方
• 診断書がもらえない場合の対処法

適応障害で失業保険を受け取ろうとしている方は、ぜひ参考にしてください。

診断書には就労が困難であったことを明記してもらう

診断書を依頼する際に最も重要なことは、単に「適応障害」と病名を記載してもらうだけではない点です。

ハローワークが判断するために必要なのは、「その症状によって、これまでの業務を続けるのが客観的に困難な状態であった」とわかる事実です。

そのため、医師には具体的な症状と、それが原因で離職せざるを得なかった因果関係を明確に記載してもらうようお願いしましょう。

医師へ的確に現状を伝えるための準備と伝え方

申請に有効な診断書を作成してもらうためには、医師に現状を正確に説明する必要があります。事前に伝えるべき内容を整理しておきましょう。

これらの情報をメモにまとめ、診察時に医師に渡すのも有効な方法です。

「失業保険の申請で、就労が困難であったことを証明する必要があるため、診断書に記載いただけますでしょうか」と丁寧にお願いしましょう。

診断書がもらえない場合の対処法

さまざまな事情で、医師から診断書を取得できないケースも考えられます。しかし、その場合でもすぐに諦める必要はありません。

まずはハローワークの窓口で正直に事情を説明し、相談してみましょう。

状況によっては、診断書がなくても、本人からの詳細な申立てやその他の資料によって、正当な理由のある離職として認められる可能性があります。

ただし、手続きはより複雑になることが予想されるため、このような場合は専門家へ相談することをおすすめします。

【事例】退職バンクで失業保険180万円を受給したケース

専門家のサポートを受けることで、失業保険の受給がどのように変わるのでしょうか。

ここでは、実際に「退職バンク」を利用して、有利な条件で失業保険を受給した方の事例を紹介します。

30代女性のケース

退職バンクの公式サイトには、次のようなコメントが掲載されています。

忙しい中で無理に次の仕事を探すのではなく、手当を受給しながらゆっくり準備ができることを教えていただき、サービスに申し込みました。

引用元：退職バンク「お客さまの声」

180万円の給付金を10か月間にわたって受給し、申請から1か月で受給を開始しています。

専門的なサポートを受けられれば、単に給付額が増えるだけでなく、お金の不安を解消しなが自身のペースで次のキャリアを考えられます。

有利な条件で受給できた背景には、専門家のアドバイスに基づき、自身の状況を客観的な事実として証明できたことが大きいでしょう。

金銭的な安定が心の余裕を生み、結果として満足のいく転職活動につながるといった好循環を体現した事例といえます。

適応障害での退職で後悔しないための3つの注意点

適応障害を理由に退職する際は、失業保険の手続き以外にも、お金に関する大切な手続きがいくつかあります。

療養に専念するためにも、退職前に次の注意点を確認し、計画的に準備を進めましょう。

• 健康保険の切り替え手続き
• 住民税の支払い準備
• 年金の切り替え手続き

それぞれの手続きについて解説します。

1. 健康保険をどうするか決めておく

退職すると、会社の健康保険の資格を失います。

そのため、次のいずれかの手続きが必要です。

• 国民健康保険に加入する
• 家族の健康保険の扶養に入る
• 会社の健康保険を任意継続する

任意継続は退職後も最大2年間、会社の健康保険に加入し続けられる制度です。

保険料は全額自己負担となりますが、国民健康保険料と比較して、どちらが負担を抑えられるか事前に確認しておきましょう。

2. 住民税の支払いを忘れない

住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職して収入がなくなった後も支払いの義務があります。

退職時期によって支払い方法が異なりますが、多くの場合、退職後に自宅へ納付書が届き、自身で納付する必要があります。

まとまった金額になることもあるため、あらかじめ準備しておくと安心です。

3. 国民年金への切り替え手続きをおこなう

退職後は、厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。

退職日の翌日から14日以内に、住んでいる地域の市区町村の役場で手続きをおこないましょう。

経済的な理由で保険料の納付が困難な場合は、免除や猶予の制度を利用できる可能性もありますので、窓口で相談してみてください。

失業保険だけじゃない！適応障害で退職したときに使える公的支援制度

適応障害で退職した場合、失業保険以外にも活用できる公的な支援制度があります。

自身の状況にあわせて、これらの制度の利用も検討しましょう。

• 傷病手当金
• 自立支援医療制度
• 障害年金

傷病手当金

傷病手当金は、病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される健康保険の制度です。

失業保険が「働ける状態の方」を対象とするのに対し、傷病手当金は「働けない状態の方」を支えます。そのため、両方を同時受給はできません。

まずは傷病手当金で療養に専念し、回復後に失業保険へ切り替えるのが一般的な流れです。

自立支援医療制度（精神通院医療）

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。

適応障害などの精神疾患で通院を続ける場合、この制度を利用すれば、医療費の自己負担が原則1割に軽減されます。

住んでいる地域の市区町村の担当窓口で、相談や申請ができます。

障害年金

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取れる年金です。

適応障害での認定は難しいとされていますが、症状が長期化し、うつ病などを併発して生活に著しい支障が出ている場合は、対象となる可能性があります。

詳しくは、年金事務所や専門家への相談がおすすめです。

手続きの不安を解消し確実に受給するなら専門家への相談がおすすめ

ここまで解説してきたように、適応障害で失業保険を有利に受給するためには、多くの手続きと専門的な知識が必要です。

心身の不調を抱えながら、これらすべてを一人でおこなうことには、大きな精神的負担が伴うのではないでしょうか。

そのようなときに頼りになるのが、失業保険の申請を専門的にサポートするサービスです。

専門家の力を借りるという選択肢について、詳しく解説します。

複雑な手続きはプロに任せるという選択肢

適応障害からの回復には、十分な休養とストレスのない環境が不可欠です。

しかし、失業保険の申請手続きでは、慣れない書類の準備やハローワークの担当者とのやり取りなど、新たなストレスが発生する可能性があります。

書類に不備があれば、受給開始が遅れてしまうかもしれません。

治療や療養に専念すべき大切な時期のため、複雑な手続きは専門家に任せ、心と時間の余裕を確保する選択肢を検討してはいかがでしょうか。

退職給付金申請サポートの退職バンクとは

「退職バンク」は、失業保険をはじめとする退職後の給付金申請を全面的にサポートするサービスです。

社会保険労務士などの専門家チームが、一人ひとりの状況にあわせた最適な申請方法を提案し、手続きを最後まで丁寧に支援します。

やり取りはオンラインで完結するため、全国どこに住んでいても利用が可能です。

専門知識がなくてもアドバイザーのサポートで、安心して申請を進めることができるでしょう。

LINEでできる無料診断からはじめてみましょう

「専門家に相談するのは少しハードルが高い」と感じる方もいるかもしれません。

退職バンクでは、公式LINEアカウントから、簡単な質問に答えるだけで自身が受給できる失業保険の金額の目安がわかる無料診断を提供しています。

まずは自身がどのくらいの給付を受けられる可能性があるのか、確認することからはじめてみませんか。

診断後に無理な勧誘などは一切ないため、安心して利用してください。

適応障害と失業保険に関するよくある質問

ここでは、適応障害と失業保険に関して、多くの方が抱く疑問についてQ＆A形式で回答します。

受給中のアルバイトや、退職理由の伝え方など、知っておくべき大切なポイントをまとめました。

• 失業保険の受給中にアルバイトはできますか？
• 退職理由は会社に正直に伝えるべきですか？
• 失業保険を受給するデメリットはありますか？

気になる質問や疑問を抱く点などがあれば、ぜひ参考にしてください。

失業保険の受給中にアルバイトはできますか？

結論からいうと、失業保険の受給中にアルバイトをしても問題ありません。ただし、いくつかの条件があります。

最も重要なのは、仕事をした日や収入を必ずハローワークに申告することです。申告を怠ると不正受給とみなされ、厳しい罰則が科されます。

また、1日の収入額によっては、その日の基本手当が減額されたり、支給されなかったりする場合があるため、事前にハローワークで確認してください。

退職理由は会社に正直に伝えるべきですか？

退職理由を会社にどう伝えるかは、非常にデリケートな問題です。

正直に「適応障害のため」と伝えるのは、メリットとデメリットの両方があります。

メリットは、会社に配慮を求めやすく、離職票の離職理由を事実に即して記載してもらえる可能性が高まることです。

デメリットとしては、職場に病状を知られることへの抵抗感などが考えられます。

円満な退職を目指しつつ、自身の状況にとって最善の方法を選択するのは大切なため、悩む方は専門家に頼るのも選択肢の一つです。

失業保険を受給するデメリットはありますか？

失業保険は生活を支える上で非常に大きなメリットがある制度ですが、いくつかの注意点も存在します。

たとえば、失業保険を受給している期間は、原則として家族の健康保険の扶養に入れません。

国民健康保険と国民年金に自身で加入し、保険料を支払う必要があります。

また、失業保険を受給すると、それまで積み上げてきた雇用保険の被保険者期間がリセットされることも覚えておきましょう。

まとめ

本記事では、適応障害で退職する際の失業保険について、有利な条件で受給するための条件、金額や日数、具体的な手続きの流れを解説しました。

最も重要なポイントは、医師の診断書を基に特定理由離職者として認定されることです。

これにより給付制限を受けることなく、自身の状況によっては最大360日という手厚い給付を受けられる可能性があります。

心身の不調を抱えながらの手続きに不安を感じるかもしれませんが、まずは自身の権利を正しく理解する必要があります。

失業保険の申請については、本記事で解説した情報を参考に、自身の状況にあわせて最適な判断をしてください。

より確実な申請や個別の状況にあわせたアドバイスを希望する場合は、退職給付金申請サポート「退職バンク」のような専門サービスを活用しましょう。